勝負の前の助け合い(養老山脈トレイルラン2019)

こんにちは。トレイルランナーいしざき(@zaki84920)です。

昨年に引き続き、12月14日は養老山脈トレイルランに参加してきました。

 

6位までの総合入賞は逃してしまいましたが、なんとか年代別入賞(総合入賞者を除く上位3名)を確保することができました。

喜べる結果ではありませんが、「安堵」という感じ。

昨年の38kmから3kmほど伸びたロングコースですが、最後の最後に大きな壁が待っていました・・・。

 

 

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養老山脈トレイルランは林道攻略がカギ

このレース、とにかく「走れる(走らされる)コース」が僕らを苦しめてくれます。。

※以下、写真はイメージです。レース中に撮影ができなかったので。。

 

▼最初の10kmはダラダラ上る林道+トレイル。

 

▼10kmから22kmエイドまでは、車も通れるぐらいの広い林道(当然すべて走る)。

 

▼22kmからトレイルに入りますが、26kmまでは緩やかな下り基調のコース。

 

▼本番は26kmから始まる階段の連続コース。

 

大した段差ではないものの、走るには狭すぎる階段を1段飛ばしで行けるかどうかがスピードを左右するため、

中間までの林道が走りやすいからといって、飛ばしすぎてしまうとこの終盤に痛い目に逢います・・

 

まさに昨年の僕が「それ」で、林道区間で結構飛ばしながら総合6位争いに加わっていたものの、トレイルに入った22km過ぎで早速痙攣が始まってしまい、26kmからの上りは歩きっぱなし・・

今年は「前半飛ばさないリベンジ」を決め込んでいました。

(おそらく、似たような失敗が多かったのでしょう・・今年のスタート地点では「林道を飛ばすな」というアナウンスが多数聞こえました。笑)

 

序盤は平和に

そんな昨年の失敗から、前半は可能な限り「無理をしない」ペースで巡行。

あまり抑える意識が強すぎると、変にブレーキをかけることにもなりかねないため、
イメージとしては「自然なペースで」走るようなイメージを心がけました。

 

序盤はそれぞれのペースで走っていたものの、10kmから始まる林道の手前で、7~11位あたりのメンバーが近い位置になり、集団が形成されます。

人それぞれ、上りが得意な選手、下りが得意な選手があり、区間によって多少のバラつきはあったものの、概ね一つの集団で22kmのエイドまでを進みました。

 

僕はというと、実はこの集団の中で、招待選手のSさんという方が「練習不足だから序盤はマイペースで」と言っていたため、Sさんに付いていかせてもらうことに。

ペースは非常に安定していて、上りも下りも気持ちよく、走り続けることができました。

 

Sさんはとても気さくな方で、レース中いろんな場面で僕に声をかけてくれました。

「まだあと25kmもあるからねぇ~頑張りすぎないようにね!」
「良い景色だね~!フゥ~!!」

と、、元気づけていただき、僕もお話ししながら進むことでレースを忘れて、余計な力を使わずに済んだような気がします。

 

26km地点で、僕が居た集団は7~9位を形成する3名の集団。

スタッフの方から「6位とは3分差だよ!」とお声がけいただき、ちょっと雰囲気が変わる。

 

ここでSさんが前に出る。「3分詰めてきます!」

 

おぉ、カッコいい!と思いながらも、僕にはついていく勇気がなく、しばらく静観。

もう一人のFさんも前には出ず、僕とFさんの二人で走る状態が続きました。

 

おそらく10分ぐらい経ったころ、Sさんが落ちてきて僕らの集団に吸収されました。

 

Sさん「勇んで出てみたものの、キツイっすわ・・笑」

 

うん、そうだよね、この階段の連続、絶対きついよね。

で、誰も前に行こうとしないので、ここは出るしかない!と思って僕が前に出ました。

 

ぼく「行ってきます!」

 

・・で、そこから10分ぐらいは前を進んでいたものの、だんだんと力尽きてしまい、力を溜めていたと思われるFさんに抜かれる。

そこから間もなく、前半に12位あたりで力を溜めていたMさんにも抜かれ、僕とSさんは9-10位を進む。

 

距離はおよそ30km、徐々に僕の脚が痙攣を始めました。

最初は内転筋。上りの階段区間で一番ピクピクくるやつ。

 

なんとか必死にSさんに付いていくものの、痙攣は、おさまったと思ったらすぐに別の場所に出現する。。

僕が前を走っている場面で、下り坂で足を滑らせ、ふくらはぎを攣って身体が半回転。。

 

イラストはイメージです。笑

 

Sさん「大丈夫?」

ぼく「痙攣が・・・色んな場所に出てきちゃって・・」

Sさん「お互い、仕上がってますね(笑)

ぼく「www」

Sさん「今からでもジェルを摂った方が良いよ。エネルギーあると変わるから。」

 

なんとありがたいお言葉。余っていたもう一つのジェルを一気飲み。

痙攣はすぐには改善しないけど、少し体力が回復したような気がする。

キツイのも、脚が言うことを聞かないのも、みんな同じだよね。

 

このレースのピーク「養老山頂」

このレースのピークである養老山頂は、僕が前で通過。

数秒後ろでSさんが通過したけど、たぶんお互いに千鳥足。。

 

次の絶景ポイントである小倉山が最後のピークだと言われ、痙攣とギリギリ戦いながら絶景を堪能し、さぁ下るぞ!と勢いよく下り始めたら、

 

スタッフ「ここは左に進んでくださーい!今年は左でーす!

 

左を見ると、どう見ても上り階段(終わりが見えないタイプの)。

そう、昨年から伸びた「3km」とは、この区間のことだった・・・

 

ぼく「え・・・もうピークは終わったんじゃないの!?!?」

スタッフ「いえ!まだそこそこアップダウン続きます!」

 

「万事休す」とは、まさにこのこと。

小倉山過ぎたら下れば良い、と思っていた僕も脚は完全に言うことを聞かず、僅かな上り坂でも歩くことしか出来ず、、

Sさんにもアッサリ抜かれ、10位に転落。でも頭の中は、順位はどうでも良くて、とにかく早くアップダウンが終わってくれ・・・!

 

幸いにも、それ以上順位を落とすことはなく、長い長い迂回区間をようやく終え、最後の林道に出る。

 

看板「あとは長い林道だけ!」

ぼく「・・今度こそ、本当だろな!??」

 

行き場のない怒り(ごめんなさいw)は看板にぶつけたつもりだけど、ただデカい独り言を叫んでいるおかしな人。

「いやいや、お前がエントリーしたんやないか」とツッコミを受けそうな展開に悲しくなりながら、

自分が年代別入賞のボーダーラインに居ることも何となく理解していたので、頑張って下る。

 

しかしこの林道、道はデコボコ、石はゴロゴロ、そして所々が落ち葉で見えない。

たまに足を踏み外したり、石を踏んで痛かったりと、なかなか厳しめの「あとは下るだけ」でした。。

(そして長い・・たぶん5kmぐらいあったでしょう)

 

長い長い林道を終え、ようやくアスファルト区間へ。

これは本当のコース。モデルは後輩まっつん。

 

「あと2km」の看板が見えたあたりで、前を走るのは、前半から僕に声をかけ続け、励ましてくれたSさん・・!

 

ぼく「あっ・・これ抜いて良いのかな・・」

 

とはいえ、僕も既に脚が終わり、逆にブレーキもかけられず、スピードがコントロール出来ていませんでした。

 

ぼく「ずっと引っ張ってもらったのに、ごめんなさい!」

Sさん「おぉ!良いんだよ!がんばれー!」

 

Sさん、どこまで良い人なんだ・・

 

そして、最後のロードもひらすらダッシュ、かと思いきや、少しコケむした、滑りやすい階段が所々に出現。段差も小さく、走りづらい。終わった脚には苦しい道でした。

 

本当にスパートできるようになったのは、残り1.5kmぐらいかな?

ショートの部の先頭が前から向かってくる時間帯になり、中学の後輩マッツンともハイタッチし、元気をもらってラストスパートへ。

 

一人ひとり、名前を呼んでもらえるフィニッシュライン

養老山脈トレイルだけではないと思うけど、トレイルランのレースでは、フィニッシュ時に名前を呼んでもらえる事が多いです。

今日も、ラスト100mあたりから、自分の名前を呼んでくれているのが分かりました。

 

酸欠?脱水?で痺れる両手を広げて喜びのフィニッシュ!もつかの間、すぐに動けなくなってしまいました・・。

完走記録証を取りに行くこともできず、スタッフの方が水と一緒に持ってきてくれて、
フィニッシュ地点でそのまましばらく、休ませていただきました。

 

そんなことをしている間にSさんもフィニッシュ。レース中のお礼を伝えるとともに、お互いの健闘を称えあい、
周りの仲間の方々と楽しい会話をする、素敵な時間を過ごさせていただきました。

 

結果、昨年と全く同じ「総合9位・年代別2位」でした。

 

ただその結果以上に、同じ山を走る皆さんとの関わり、つながり、そして感謝の印象が強いレースとなりました。

 

 

さいごに

養老山脈トレイルのコースを2度走った感想。

 

後半の難しさについて、階段の高さやアップダウンを単体で見ると、絶対に大したことのないトレイルなのですが、

前半にあれだけ長い林道を走り続けてしまうと、身体のリズムがおかしくなって、後半のコースが上手に走れない。

 

「痙攣した」「もう脚が動かなかった」

といった声が、上位の選手たちからも多く聞こえてきました。

 

以前、彩の国100mileレポートでも書きましたが、やっぱりトレイルランニングのコースは、距離や獲得高度、高低差図などのデータでは測ることのできない、

そのコースの、その山の個性があって、挑み甲斐があるんだなぁと、改めて感じました。

 

レース前の朝焼け。綺麗だった。

 

また、今回のレースでは序盤からSさんの声掛けのおかげで、僕は元気をもらうことができたし、

もっと前のほうでは、両足痙攣で動けなくなった選手をサポートし、安全な場所まで同走する、といった行動も見られたようです(それで二人とも総合入賞しているのがすごい・・)。

 

レースは勝負でありながらも、山の中は常に危険と隣り合わせで、助け合いが必要。

どちらかと言うと、勝負よりも助け合いがベースとなってトレイルランは成立し、その上でレースをしているんだと、改めて思い知らされるエピソードでした。

 

その心構えを忘れず、これからもトレイルランニングを楽しみたいと思います。

 

Special Thanks!

「競技者の足のストレス軽減に注力したエンデュランス用ソックス」

2019年は一年間、インナー・ファクト社のアンバサダーとして、インナーファクトのソックスを履いてトレイルランを続けてきました。

 

 

長いレースで足がふやけにくい速乾性、皮膚へのストレスが起きにくい縫い方、でも速いピッチで飛ばす時にも安定した生地の吸いつき。

今回のレースでも、僕の足元を支え、ノントラブルでレースを終える原動力となりました。

 

 

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